2009.1.29 柳川・お花 「鰻のせいろ蒸し」 [編集長コラム]
こんがりあめ色の鰻と
タレと蒸されたご飯が人気の
柳川の郷土料理
詩人北原白秋の育った地として、また堀をめぐらした水郷で有名な福岡県・柳川。筑後平野や有明海など豊かな自然を持つ柳川は、味のある特産品がいっぱいです。中でも「鰻のせいろ蒸し」「柳川なべ」は全国に知られています。硬めに炊いたご飯にタレをまぶして蒸し、香ばしく焼いたうなぎの蒲焼きをのせて再度蒸し、錦糸卵を散らした名物の「せいろ蒸し」は多くの旅行客を魅了しています。
「御花」は当地を治めた立花家の別邸として作られ、現在は柳川のシンボルとして柳川の人、柳川を訪れる多くの方々に愛されています。
歴史の素晴らしさを肌で感じる
柳川は古くは柳河と書き、筑後川・矢部川に挟まれた平坦な低湿地帯、筑後平野特有のクリークと呼ばれる水路・運河網が発達した水郷の町です。
1620年に立花宗茂が柳川城主となり立花藩の城下町として栄えた柳川。元文年間(1736〜1740)には、柳川城南西隅に立花家の別邸があり、藩主と側室、その子ども達が生活をしていました。当時この地域は「御花畠」と呼ばれており、柳川の人々から「御花」と呼ばれ現在に至っています。明治末期に作られた御花にある松涛園と呼ばれる庭園は、国の名勝に指定されており、日本三景の宮城県・松島にみたてた設計で約280本の松は樹齢200〜300年もある立派なものです。
庭園の静かな池には毎年10月から4月まで約500羽の野鴨が飛来します。「飛来してしばらく経つとカップルが出来てくるんですよ。段々数が増えてきますが、この池はとても居心地が良いんでしょうね」と御花の中村貴康マネージャー。また明治43年に立花家の迎賓館として建築された、鹿鳴館様式の流れをくむ伝統ある西洋館は明治の面影を今に伝えます。
鰻のせいろ蒸し
柳川で元祖を名乗るお店は300余年のせいろ蒸しの歴史があるというから、相当の歴史がある食べ物です。鰻のセイロ蒸しはセイロの中に自家製タレで蒲焼した鰻と絶妙な甘さ加減の自家製タレのしっかりしみたご飯を重ね入れ、高温の蒸気でじっくりと蒸し上げます。米の一粒一粒まで鰻の旨みとタレの味が染み渡っており、それは絶品。朱塗りの木箱に黄金色に焼かれたウナギが輝き、薄焼き卵の短冊切りのふわっとした錦糸卵が散らしてあります。鰻の身の表面はカリカリしているのに中身は柔らかく香ばしい鰻をいただくと心も満足です。鰻といえば夏場の土用丑の日が有名ですが、秋から冬にかけては身が太り脂ものる美味しい季節です。
「御花」のお食事処対月館での人気メニューは鰻せいろセット(3,150円)です。せいろ蒸しに肝吸、うざく、鰻の茶碗蒸し、香の物が付き、四季折々に松涛園を眺めながら御花の長い歴史に思いを馳せながらいただくことができます。
柳川の見所は沢山ありますが、柳川の魅力があるのは生活水路として縦横無尽に張り巡らせられた堀割を地元の人々がそれを愛し、保存浄化しようとすることに賛同し努力してきた結果ではないでしょうか。情緒あるドンコ舟下りと水路両岸の柳の景色。歴史を保存していく想いが今の柳川を育てたんだなぁと夕暮れ時の堀そばを歩きながら感じました。
<取材協力:柳川御花様>
<Photo.編集長>
柳川・橘香園の蜜柑搾りの記事
柳川お花さんはホテルもされています。ここで宿泊するのもいいものですね。
柳川 お花さんのホームページ
Posted at 00時03分
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