カバーコラム”美しい冬へ続く道” [DINING EXPRESS誌より]
寒さも本格的になり、温かい布団の世界からなかなか抜け出せない今日この頃。この季節になると、私が無性に食べたくなってしまうのが海のミルク、牡蠣。
元旦には、祖父母の家を訪ね、牡蠣を楽しむのが恒例だ。祖父母の家は佐賀県太良町にある。
佐賀県から長崎県に続く国道207号線を通り有明海を望む海岸線を走りながらこの町に入る。人口1万人ほどのこの町は、山と有明海に囲まれ時間がゆるやかに流れているように感じさせてくれる。
晴れた日の有明海はいつ見ても穏やかで、遠浅の海岸に耳を済ませるとプチプチと潟から気泡がはじける音が聞こえ、じっと見ていると泥まみれになってジャンプするムツゴロウを見つけることが出来た。見た目の穏やかさとは裏腹に、この海は力強い生命で満ち溢れている。
国道207号線を進むと、道を挟んで左右にカキ焼き小屋が並んでいる場所がある。通称「カキ焼き海道」。生で食べられるほど新鮮なカキを、バケツいっぱいに入れても1000円から1500円で食べられるということだけあって、県外も多くの観光客が訪れてくる。バーベキューのように自分で牡蠣を焼くのだが、炭火の上で牡蠣はジュージューと音を立てて踊りだし、アツアツのところをで口にほおばると思わず笑みがこぼれてくる。炭火を囲んでワイワイ騒いでいると外の寒さなんて気にならなくなるから不思議だ。この楽しさが牡蠣の美味しさを一層増すことになる。
10月から3月のシーズンにしか体験できない、カキ焼き小屋の味と雰囲気。寒い時にこそ、外で旬を楽しむのもまた楽しい。この冬、一度体験してみてはいかがだろうか。(S・I)
Posted at 15時19分
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