山田守氏の設計 熊本市役所花畑別館
気にもしなければフツーの熊本市内の電車通りの風景。茶色のビルは 熊本市役所花畑別館。このビルは大変古い歴史があるビルです。今年度末(3月)をもって閉鎖され、取り壊しを熊本市が決定したビルです。保存運動はされていますが、耐震構造をやり直すのに20億円もかかるとか。熊本は歴史的なものの保存は、費用がかかるなどで取り壊しになるケースが多いようです。旧市役所もそうですし、旧熊本市水道局など。(新歌舞伎座などの建築で知られる、村野藤吾設計)
花畑別館の設計は、山田守氏。(1894から1966) 当ビルは1936年(昭和11年)オープン。山田氏は日本の設計者の中でも名が知れ渡っています。東京帝国大学建築科卒業で逓信省へ入省し、逓信関係建築物の設計に当初携わっています。1924年に完成した門司郵便局は現在門司レトロのビルの1つとして利用されています。後期には 日本武道館(1964)、京都タワー (1964)も設計しており日本を代表する建築物が多くあります。
熊本には山田守建築はくまもと森都総合病院(旧逓信病院)がありますが、これもいつまで存在するかわかりません。
ビル内外を散策してみましょう。
車寄せとかそういうものがあるわけではないですが、堂々としたエントランス。
受付。R (アール) 曲線を表現しているのが山田守建築の特徴の一つ。直線で表現されたアールデザイン。素敵です。
らせん階段もアールの多様。やわらかく感じます。てすりにも曲線を使用しています。とても素敵な階段です。
階段の採光は斜めにデザインされた窓ガラスから。内から見るとこんな感じですが、
1階部分から見ると、このようなデザインになっています。一番上のフロアー(4階)は後程増設されているので、デザインが違います。しかし正面から見ても一つのデザインとして違和感なく統一感があります。4階で普通のビル6階分の高さはあるでしょう。
あとどれだけの期間 花畑別館を見ることができるでしょうか。残り少なくなっているのは事実です。横断幕がないすっきりしたビルの様子も見てみたい。そばを通りすぎるたびに、見てしまいます。